Y U R A 〜その忍、黒き蝶の如し〜

楽しそうに、市の泣き顔を眺める男。


由羅はこのとき、自分自身を責めていた。


こんな男に、素直に従うべきではなかった。

市さえ無事に解放されれば、自分はどうなろうとどうでもよかった。


…だが男は、その由羅の思いを踏みにじった。


初めから、動きを封じておけばっ…。


市を人質に取られ、絶体絶命的な状況。

もはや由羅には、この場をいかに無傷で切り抜けるかということを冷静に考える余裕はなかった。