Y U R A 〜その忍、黒き蝶の如し〜

「竜之助は、わからないのか?」


由羅の問いに、竜之助はぎこちなく首を傾ける。


「…わかるって、なにが…?」

「血の臭いだ」


これまで、何百という人を殺めてきた由羅にとって、血の臭いは独特かつ嗅ぎ慣れた臭いだった。


その臭いが、わずかだが風上から漂ってきていたのだ。


「…いや、俺にはなにも…」


当然だ。

常人の竜之助が、察知できるわけがない。