Y U R A 〜その忍、黒き蝶の如し〜

「私の…、本当の名前……」


鞍馬一族の者以外に、“由羅”という名前を教えたことは…。

当然だが、今までに一度もなかった。


赤の他人に本当の名前を知られるということは、まるで鎧を剥がされ、丸裸にされるような感覚だった。


無防備で、危険…。


だからこそ、“椿”という名が由羅の鎧の役目を果たしていた。


だれにも教えたことがないからこそ、怖い。