Y U R A 〜その忍、黒き蝶の如し〜

義秀は、目を伏せる。

そして、声を絞り出すように話した。


「…それが、だれも姿を見てはおらんのだ」


由羅は、心の中で「やはり」と呟いた。


義秀のこの言葉を聞くまでは、由羅の正体が城の者に知れ渡っているということを前提に周りを警戒していた。

しかし、いつになっても由羅を捕らえる素振りは見せてこない。


…もしや、黒蝶の正体を知らされていないのか?