Y U R A 〜その忍、黒き蝶の如し〜

颯は愚痴るように呟く。


しかし由羅の気が進まないのは、そんなことではなかった。


菊葉の城下町には、…竜之助がいる。


もし竜之助に会ったとき、どんな顔をすればいいのか。

椿という踊り子の姿で、シラを切り通せるのか。


それならまだしも、もしかしたらすでに竜之助が城の者に、“椿=黒蝶”ということを密告しているかもしれない。


…それが、最も最悪のこと。