前に由羅が市のために作っていた着物が、ようやく完成した。


その鮮やかな赤色の着物は、今由羅が着ている着物と同じもの。


「キレイな赤色だね!」

「うん。私もこの色が好きだから、踊るときはどうしてもこの着物が着たくなるの」

「そうなんだ!じゃあ、市も着てみるー♪」


そう言って着物に袖を通す市を、傍らにいた竜之助が止めた。


「着るのは、家に帰ってからにしな」