Y U R A 〜その忍、黒き蝶の如し〜

「…なにをだ?」

「由羅様が笑ってくれたって」

「…ああ、盃を交わす前のときか」


由羅は、乾いたため息を吐く。


陽蔵の娘であり、里一番の由羅は必然的に目立つ存在。

しかし由羅にとっては、持て囃されることも自分のことが話題にされるのも苦手であった。


「お前、ああいうときでしか笑わねーもんなぁ。まぁ笑うっつーか、微笑んだって言った方が正しいけど」