「いや、だってよ。由羅って、だれかのためになにかをしようとしたことって、今までにあったっけ?」

「失礼だな。私だって、里の子たちに着物を作ったことくらいある。それにー…」

「そうじゃなくて」

「え?」


由羅は、キョトンとして首を傾げる。


「里以外の者にだよ」

「里以外の…者?」


颯は徐ろに着物のポケットの中に手を入れると、中からクナイを取り出した。