家の前・・・それは結構大きめの駅の直ぐ側に存在するマンションの・・・一室の前なのだが。



早くに帰ってきたつもりが、思わぬ事態によってだいぶ予定よりも遅くなってしまった。


思わぬ事態というのは他でもなく、道に迷った。


道に


迷った。



俺は自分の無鉄砲さを非難したい気分だった。俺は途方も無くふらふらと長い時間歩き続けていた。


あそこはそこで偶然に見つけた場所だ。



考えてみれば俺はあそこがどこ地区なのか、さっぱり知らなかった。道に従ってきていれば話は別だが、元々変える気のなかったものだからすっかり忘れてしまっていた。



仕方なく道行く人々に聞いて回ったのだ。あれ程恥ずかしいものはあるのだろうか?


いや、個人的にアレが一番恥ずかしいと思う。




と、そんな感じでやっとの思いでたどり着いた時。既に辺りは真っ暗だったのだ。




全く・・・最悪だ。



そして覚悟を決めてドアノブに手を掛けた。


ぐるりと回すと、ドアが開いた。鍵が開いている・・・ということはたぶんもう誰かが帰ってきている証拠。



「はあ・・・。」