「あれ、何だ秋空。彼女か」

「あ、やっぱいたのかよ。ちぇ、晴野、こいつ無視していいから」

「おい、兄貴に向かってなんだよそれ」

 厨房から出てきた男性と楽しそうに話しはじめた神野くん。

 って、兄貴?お兄さんのこと?

「神野くん、お兄さんいたんですか」

「え?そりゃいるに決まってんだろ?血は繋がってねぇけど」

「俺と秋空は一緒に夜を明かしてたからな」

「同室ってだけでキモいこと言ってんじゃねぇよ」

 神野くんの拳がお兄さん?の顎にクリーンヒット。
 うわ、痛そうです…。

「秋空、兄はお前をそんな風に育てた覚えはないぞ!」

「誰がお前に育てられたって?いつも俺盾にして逃げてた奴が!」

 神野くんの口調は怒っているのに、表情はとっても穏やかです。

 きっと、信用し合っているんですね。いいなぁ。