神野くんはすっきりした顔で、机から降りました。

 スタスタと私に向かって歩いて来ると、急に手を伸ばしてきました。

 その手が、何かの影に重なって見えて思わず目を閉じると、頭に温かい手が乗りました。

 …撫でられてます。

「晴野、お前に何があったか、俺は何もわからないけど、でも俺は晴野の味方になりたい」

 味方…?

 そっと顔を上げると、神野くんは苦笑を浮かべていて、そっと前髪が払われる。
 不思議と、私は素顔を見られることを恐れませんでした。

「晴野は自分で気づいてないかもしれないけど、人を惹きつけるんだ。俺も、その1人だから」

「え?」

 何を言っているんですか…?

 神野くんはそっと手を引っ込めましたが、触れられていた頬はまだ熱いです。

 本当に、どうしちゃったんでしょう。今日は本当に不思議な日です。