「ツツジちゃーん」


「あ、香代先輩!」



私がとってもアホらしい勘違いをして、晶に迷惑をかけてからもう1週間余りもたつ。



晶を通して知り合った私と香代先輩が仲良くなるのに、そう時間はかからなかった。



まぁ、香代先輩には彼氏がいて、それに驚いた私にさらっと『んー、今大学生のねー』なんて言うものだからさらに驚かされた訳だけど。



なんというか、とにかくおっとりした人だ。



「はい~、これ藤のちっちゃい頃の写真~!
ほらぁ、昔っから悪ガキの顔してるでしょー?」



「わっ、本当だ!
今とあんまり変わらないかも」



香代先輩の手の中にある何枚かの写真を覗き込み、それに写る小さい男の子を見る。



もちろん髪はまだ金色じゃないし純粋に笑って写ってるから怖いとかは一切感じないけど、それでも目付きは鋭いやら笑いかたが悪戯っぽいだとか、面影は物凄くある。



「おいモカ!なに変なもん見せてんだてめぇ!」



「えぇー、いいじゃあん。
小さい頃の藤はもっと可愛かったのになぁ~」



「知るか!ツツジもまじまじと見てんじゃねー!!」



「あー!晶、返してよー!」



パッと写真を取り上げられて、私は頬を膨らませた。



最近は毎日、こうやって楽しく3人でいることが多い。



もちろん放課や放課後の話だけど。



晶はやっぱり授業にあんまり出ずサボっているようだけど、それでも私には晶が悪い人…と言うか、不良には見えなかった。



いや、授業にでないのは悪いことだけどね!?



それに晶はずっと別校舎にいるもんだから、学校に来ているのかもほぼ知られていない。



最近知ったのだが、晶には隠れファン?みたいなのがいるらしい。



表沙汰に騒いだりはしないが、たまに「今日は藤崎くん来てないね、残念~」なんて会話をしているのを耳にする。




………実は別校舎にいるのだけど。



晶いわく、うるさいし鬱陶しいから絶対連れてくんな、だそう。