ありがたくお昼ご飯をいただいた後、私と交代して如月くんも休憩に入った。

午後の仕事はある程度余裕があって、今みたいにお客さんがいなくなる時間もある。

しゃがんで本を並べながら、隣に来た如月くんに何気なく話し掛けた。


「ピークが過ぎたみたいですね。ちょっと一息つけそう」

「あぁ……つーか何で敬語なんだ、さっきから」


棚に本を入れる如月くんに言われて、そういえばと気付いた。


「あ、なんとなく……如月くんが盾突けないオーラを醸し出しているもので……」


気心知れない男子に敬語になってしまうのも似たようなものだけど。

若干オドオドしながら、でも正直に言うと、如月くんはわずかに眉根を寄せる。


「地味な格好してる時は普通に喋ってるじゃねーか」

「あの時は私と同じ雰囲気を感じるから……って、そうだ! どうしてあんな格好してるのか教えてくださいよ!」


そうだよ、忙しくて忘れてた。一番気になる問題があったのに!

すっくと立ち上がって綺麗な横顔をじっと見つめていると、彼は何かを考えるような間を置いて口を開く。


「……お前、パープルのことは知ってんのか?」