あぁ~もう、毒舌王子らしからぬ突然の甘い発言はやめてください……!


ふわりと閉じ込められた心地良い腕の中で、熱くなる顔を埋める。

バクバクと鳴る心臓の音も伝わっちゃいそうだ。

そんな私の髪に指を絡めながら、彼はクスッと笑う。


「こういうの妄想してたんじゃねーの?」

「し、してたけど……」


現実にされると腰が砕けそうです……。

それなのに、彼はさらに私をイジメる。


「物足りない?」

「そんなんじゃ、っん──!」


くいっと顔を上向かされたと思うと、すぐに綺麗な顔が近付いて。

私の唇は、柔らかな熱に包まれた。


ついばむようなキスから、じっくりと味わうようなキスに変わる。

何度かくっついた唇が離されると、ぼうっとしたまま俯いた。


「また、するなんて……」


照れ隠しの私の呟きを聞いて、如月くんは余裕の笑みを浮かべる。


「さっきも言っただろ。好きだからキスして何が悪いわけ?」

「……わ、悪くない……です」


恥ずかしながらそう答えると、彼は笑いながら私をぎゅっと抱きしめるのだった。