「もしもし」

『Hello~菜乃ちゃん! 元気?』


電話でも相変わらずな琉依くんに、私はクスクスと笑う。


「んーまあ、元気、かな」

『微妙な返事だね』

「あはは。どうしたの? 琉依くんが私に電話なんて珍しい」

『うん、ちょっと話したいことがあって。今日の夕方会えないかな?』

「えっ、今日!?」


突然のお誘いに、目をぱちぱちさせる私。

話って何だろう……。

まぁ特に用事もないし、その話が気になるし、会ってもいいか。


『忙しいかな?』

「ううん、大丈夫。いいよ」

『Thank you! じゃあねー……』


午後6時に、お祭りで待ち合わせたのと同じ赤い橋で、と指定された。

そして、『地味な姿じゃダメだよ』との注意も。

琉依くん、私がメガネクラに戻っちゃったことに気付いてるんでしょうか……。


いったいなぜ地味な格好じゃダメなのかわからないけど、とりあえず言われたからにはそのつもりで行かなくちゃね。

電話を終えると、私はすぐに準備を始めた。