「いやいや。
そんなスパイもどきの真似はしませんよ」
と言うと、
「なんの策略もなくとも、お前が付くだけで、なにかが起こるからな」
と失礼なことを言い出す。
「夏目とね」
と呟いたあとで、
「まあ、ミイラとりがミイラにならないようにな」
と智久は言った。
「そういえば、課長に言われましたよ」
うん? と智久が顔を上げる。
「自分と専務とどっちが好きかって」
「俺を入れるな」
と言われて笑う。
「わかってますよ」
智久は、また先にエレベーターを出て行った。
振り返り、まだエレベーターの中で考え込んでいる未咲に、
「だから、俺にボタンを押させるな」
と外で文句を言っていた。
一度目と、二度目と、三度目と。
どの記憶を消したいと言われたら、そうだな……。
「何故、俺の顔を見る」
とボタンを押したままの智久を見、
「いいえ、別に」
と言いながら、未咲はエレベーターを降りる。
そんなスパイもどきの真似はしませんよ」
と言うと、
「なんの策略もなくとも、お前が付くだけで、なにかが起こるからな」
と失礼なことを言い出す。
「夏目とね」
と呟いたあとで、
「まあ、ミイラとりがミイラにならないようにな」
と智久は言った。
「そういえば、課長に言われましたよ」
うん? と智久が顔を上げる。
「自分と専務とどっちが好きかって」
「俺を入れるな」
と言われて笑う。
「わかってますよ」
智久は、また先にエレベーターを出て行った。
振り返り、まだエレベーターの中で考え込んでいる未咲に、
「だから、俺にボタンを押させるな」
と外で文句を言っていた。
一度目と、二度目と、三度目と。
どの記憶を消したいと言われたら、そうだな……。
「何故、俺の顔を見る」
とボタンを押したままの智久を見、
「いいえ、別に」
と言いながら、未咲はエレベーターを降りる。



