禁断のプロポーズ

 

 


 会長室は窓というより、全面ガラス張りな感じで、燦々と日が差し込んでいた。

 狙撃されたりしないのだろうか、と未咲は不安になる。

 少なくとも、高所恐怖症の自分は、窓際に寄れそうもない、と思ったとき、会長が言った。

「未咲、私の娘じゃなかったそうだな」

「あ、はい」
と厳しそうだが、時折、微笑みを見せる老人を見て言った。

「まあ、最初からそんなはずはなかったんだが、噂が先行してな。

 お前をこの会社に入れたのは、お前を智久の嫁にと思ったからだ」

「は?」

「私はお前の母親を買っていて、ぜひ、息子の嫁にと思っていたんだが、なんの弾みか、喧嘩別れしてしまったらしくてな。

 お前の母親が別の男と結婚離婚してからも、まだ、息子の方は未練があったようだが」

 姉、志帆は社長の子供かもしれないという智久の話を思い出していた。

「お前は母親によく似ている。

 だから、智久の嫁にと思ったんだが、どうだ?」

「え、えーと、それはーー」

 すぐに孫との結婚話を否定されても、不快だろうと思い、
「智久さんが決めることですから」
と言った。