禁断のプロポーズ

「実は、本当に関係があったのは一人だけかもね」

「そういう親だったのなら、ちょっと私も救われますけど」
と言ったあとで、なんだかその話が気になった。

 ただ、なにが引っかかるのかはわからなかったけれど。

 今はそれどころじゃないから放っておいた。

 夏目の部署にたどり着くと、夏目は部下となにか話していた。

 克己と二人で、廊下から大きく手を振って合図すると、なにやってんだ、莫迦、という目でこちらを見る。

「落ち着き払ってんな、夏目。

 今日辺り結果が出るの知ってるんだろ?」

「あの人、きっと海外も平気なんですよ。

 私は苦手ですが」
と言うと、

「別に海外行かなくてもいいんじゃない?

 日本の山中とか、樹海にでも、こもりなよ」
と言う。

「水沢さん、樹海って結構な観光地って知ってました?」

「そうなんだ?
 じゃあ、今度行こうよ、二人で。

 初デートが樹海ってのも良くない?」
とか莫迦なことを言っているうちに、夏目が来た。

「どうした?」

「どうしたじゃないですよっ。
 智久さんに結果が来ましたっ」

「どうだったんだ?」

「……社長の息子さんでした」

 あらら、という顔を克己がする。