禁断のプロポーズ

「どうでしたか?」
と言ってみたが、返事がない。

「違ったんですか?」

 この場合の、違ったんですか? は社長の息子ではなかったのかという意味だ。

 それこそが、智久の望んでいる答えだったろうから。

「いや、社長の息子だったよ」

 頬杖をついて、クリックしながら、智久は、なんの感慨もなさそうに言う。

 だが、なにかを丹念に見直しているようだった。

「……そうですか」
と言って、ひょいと覗こうとしたのだが、蓋を閉められる。

「なんですか」
と言うと、

「俺に知らせが来たと言うことは、お前たちにも来てるんじゃないのか」
と言った。

「ああっ。
 そうだっ」
と叫ぶと、

「あれだけ待ってたくせにな」
と呆れられた。

 そこで、智久は、こちらを見、少し笑う。

 ちょっと優しげなその表情に、不覚にもどきりとしてしまった。

 いつもそういう顔してればいいのに、と思いながら、

「じゃ、ちょっと行ってきます」
と夏目のところに行こうとすると、智久が言った。

「未咲」

「はい?」
と足を止める。

「……愛してるよ」

 は?

「冗談だ、行け」
と言って、智久はもう一度、パソコンを開け、何かを見ていた。