「夏目さんっ、まだですかっ」
結局、夏目と一緒に結果が見たいと思い、スマホで夏目のメールを見られるようには設定しなかった。
その代わり、職場に居るときは、何度も、夏目に電話して確認する。
『……思うんだが。
メールを送ったら、送ったって電話してもらうようにしたらどうだ?』
「それだったら、そのとき、口頭で教えてもらえないですかね?
細かいデータとかいらないですから」
「とか言いながら、兄妹って出たら、目を皿のようにし見て、調べ直しそうだけどね」
と横で聞いていた桜が言う。
「もうっ。
桜さん、他人事だと思ってー。
っていうか、夏目さん、なんでそんなに落ち着いてるんですかっ」
『俺は腹を括ったからだ。
お前も括れ』
バスポートを取りに行こう、と言う。
何処まで本気なのかわからないが。
「だってー、海外苦手なんですもんー」
「問題なのはそこ?」
と桜は笑っている。
専務室のガラス張りの外だったので、智久が、またやってる、という目で見ていた。
中にファイルを持って入り、
「もう今日くらいですよね。
もう仕事したくないですー」
と愚痴ると、智久は椅子に座ったまま、こちらを見て、
「ほんとに往生際が悪いな」
と言った。



