禁断のプロポーズ

 智久は彼に触れている手を見、
「なんだ、これは。
 キスしてもいいとか、そういうことか?」
と訊いてくる。

「そうじゃないですよっ」
と手を離した。

 智久はこちらを見て言う。

「夏目も水沢もたぶん、自分が助けられなかったことを悔いていた。

 自殺じゃなかったと知って、ホッとしてるさ」

「そうですか。

 まあ、そうかもしれませんね。

 そういえば、本人ならわかるって、さっき言いましたよね。

 じゃあ、私のことも、調べなくても、お母さんに訊いたら、わかったってことですよね」

「……今、なんて言った?」

「え?
 お母さんに訊いたらわかるのかって」

「生きてるのか!?」

「死んだって言いましたっけ?

 何処かに居ますよ。

 何処に居るのか知らないだけです。

 だって、そういう人だったじゃないですか」

「水沢に教えてやれよ。

 お前につきまとわなくなるから。

 それより、更に謎の兄妹が増えないように気をつけろよ」

 いや、私には気をつけようがないんだが、と思いながら、その台詞を聞いていた。

「智久さん、もう仕事に戻りますけどーー。

 貴方は全然弱い人じゃないですよ」

 じゃあ、と軽く手を挙げ、未咲は部屋を出ていった。