禁断のプロポーズ

「大病院ってのは、あんなものだ。

 患者が大勢、ベッド空くの、待ってるからな」

「用もないのに雲隠れに入院する政治家とかは泊まらせるくせに。

 まあ、軽く扱われた方が、なんだたいした傷じゃないんだと思って、安心しますけどね」
と言うと、

「たいした傷だぞ!?」
と言い返してくる。

「いやいやいや。

 傷を軽んじてるわけじゃなくて、……安心するって意味ですよ。

 はい」
と紅茶を渡すと、

「なんで、紅茶だ」
と言う。

「紅茶も好きでしょ。

 なんか珈琲って、刺激物って感じがして。

 私、飲むと調子崩すんですよね」

「そりゃ、お前にとって刺激物なだけだろ」
と言いながら、智久は少し起き上がり、紅茶を飲んでいた。

 ブランケットを持ってきてかけてやり、智久の側、ラグの上に腰を下ろしたあとで、
「そういえば、鑑定結果って、どうやってわかるんですか?」
と訊く。

 親子鑑定をしたいという智久の願いは、社長にすぐに受け入れられた。

 相続レースにその事実は関係ないと言いながらも、やはり、社長も気になっていたようで、一も二もなく引き受けてくれた。

 智久の父も、どんな結果になろうとも、智久が今まで育ててきた自分の息子であることに変わりないと言ってくれたようだった。