禁断のプロポーズ

  



 その部屋のドアを開けたとき、未咲は、ほっとした。

「やっぱり、我が家はいいですね」
と言いながら、ボストンバッグを置いて、伸びをする。

「俺の家だぞ」
と後ろで言う智久に、

「いや、病院は疲れるって話ですよ。

 付き添いで居るだけでも。

 あと、半分は貴方の気持ちを代弁してあげたんです」
と言った。

「さあ、さっさとベッドでもソファでもいいから、寝てください」
と言って、手を洗い、お茶を淹れに行く。

「智久さん、手、洗いましたー?」
と振り返らずにキッチンから呼びかけると、

「……子供か」
と呟くのが聞こえた。

 笑ってしまう。

 だが、素直に洗いに行ったようだった。

 智久は、そのまま、ソファに横になったようだったが、鞄から仕事の続きを取り出し、見ている。

 まあ、あれがこの人の娯楽なんだろうから、ほっとくか、と思った。

「でも、最近の病院って、すぐ叩き出されるんですね」

「叩き出されるってな」

「だって、そんな感じだったじゃないですか。

 はいはい。
 ぼちぼち傷が塞がったら、もう出てくださいって。

 まだ、なんか汁が出てますよって言ったのに。

 軽く処置して、はいはいって」