禁断のプロポーズ

 



 チン、と場違いに可愛らしい音がして、夏目の前で、扉が開いた。

 ごとり、と女の身体がエレベーターの外に向かって倒れてくる。

 それを見ながら、夏目は言った。

「……ひとつ、訊いていいか」

「はい、どうぞ」
とエレベーターの中の未咲が言う。

「こいつ……お前が倒したのか?」

「そうですよ」
と手にナイフを持った未咲は女を避けて外に出ながら言った。

 警備員に血のついていないそれを、はい、と渡そうとしたが、みんな、わああああっと悲鳴を上げて逃げていってしまう。

 未咲は小声で、夏目に言った。

「あの人をかくまってたとき、暇だからって、いろいろ身を守る方法教えてくれて。

 ま、ほんとは簡単に息の根を止められるんですけどね」

 どうにも加減が効かないから、あまりやりたくない、と付け加える未咲に、青ざめた克己が夏目の肩を叩いて言った。

「夏目……、夫婦喧嘩に気をつけろ」