禁断のプロポーズ

「なんで私だと思わなかったの。

 私が横領犯だと知っていたのに」

「そんなこと、どうでもよかったんですよ。

 おねえちゃんにとっては、そんなことどうでもよかったんです」

 智久は言っていた。

 俺たちには乗り越えられなかったと。

 兄妹であるかもしれないことが。

 確かめる勇気も持てないまま、志帆は殺し屋にすがり、智久は浮気したと彼女を責めた。

「それでも、おねえちゃんは死ぬことを選んだりしなかったのに。

 嘘日記で自分を騙してでも……

 騙してでも、ずっと生きてて欲しかったのに!」

 私も嘘を書くことがある。

 それは子供の頃からしていた、未来への願望を書くことだ。

 少し先のページに、その頃なってたらいいなと思う夢を書く。

 志帆は笑っていたけれど。

 自分は志帆にもやって欲しかった。

 十年日記のその先に、未来を書き記して欲しかった。