「違う。
 偶然を装って、会いに行ったんだ。

 未咲と居るときだけが唯一、俺にとって癒される時間だったから。

 そして、うっかりキスして確信したんだ。

 やっぱり、本気なんだって。

 俺は迷った。

 未咲を連れて逃げようかと。

 でも、危険なことには巻き込みたくなかったし。

 未咲の方はあまりその気はなかったみたいで、俺を警戒するように、次に会うときは、姉貴を連れてきた。

 未咲によく似た姉貴を。

 俺は未咲に接触し過ぎた。

 俺にそういう存在が居るのがバレたんだ。

 お前にはもうなにもかもわかっているんだろう?」

 だから、未咲には、もう会えない、と言う。

「ひとつ、聞かせてくれ。

 未咲の姉を殺したのは、お前か。

 お前を狙ってた奴か」

「俺じゃない。

 そこまでは非道になれない。

 少しあいつの姉と付き合って、よく似たあれを未咲と勘違いさせようとした。

 未咲が狙われないように」

 いや、充分問題あるが、と思ったが、殺し屋の基準というのは、自分たちと違うのだろうと思った。