禁断のプロポーズ

「智久さんが触ってこないんじゃないですか」

「じゃ、触っていいのか」

「いいわけないじゃないですか」

 なんなんだお前は、という目で見られる。

「俺は夏目ほど手が早くないからな」

「課長も別に……」
と言いかけたが、 

「お前には結構ぐいぐい押してきてるじゃないか」
と智久は言ってくる。

「そうなんですけど。
 なにか考えがあって、そうしてるのかもしれないあと思って」

「お前の考え方は面白くないな」
とあの智久にまで言われてしまった。

「しかし、厄介なものを拾ったと思っていたが、手放すとなると、ちょっと惜しいな」

「いや、智久さんは、意外に面倒見がいいからですね。

 また誰か困ってる人を助けてあげてください」
と言うと、どんな慈善事業だ、と言われる。

 腰を深く落とした智久は、いきなり、未咲の膝に頭を乗せてきた。

「どうしたんですか?
 疲れてるんですか?」

「俺だって疲れるよ」
と腕を組んで、天井を見ながら智久は言う。