「いつも練習に付き合ってくれるし、優しいし!
最近前より明るくて、かっこいいなーって思うんだよ!」



〝かっこいい〟

その言葉の意味が一瞬わからなくなる。

頭の中があまりの熱さに爆発しそう。



「か、かっこいいって……」

「うん!
頑張ってる人はすごくかっこいいよ!」



ああ、なんだ。

そういうことか。



僕が考えるような意味じゃないことなんてわかっていたはずなのに、正直言ってかなり落胆してしまう。



「あたしが主役になれるよう、台本を読みこんだり演劇の勉強してくれてるの、知ってるよ」



彼女の言葉に視線が奪われる。



「勉強とか、掃除とか、悠はいつも丁寧にコツコツしてるじゃん!」

「っ、」

「だから憧れる!」



君はいつも、他の人が気づかないことに気づいてくれる。

言葉にしてくれる。



それでも、僕はやはり頑張っているわけじゃないと応えるんだ。



だって、君が本当にすごいと思っているのは。

憧れているのは、僕じゃなくて……先輩だろう?