“あの”日に抜け出せなかったのは、私だけではなかった。 叶くんも、 ………囚われていたんだね。 「…もう、良いよ…。」 「……莉茉?」 驚きに顔を上げた叶くんの瞳と私の視線が合った。 「叶くんは、私の事を何も知らなかったんだから、信じられなくても仕方ないもん。」 …茉莉の事も… 敢えて、知られないようにしていた私にも非はあるから…。 叶くんが罪悪感や、謝る必要なんかないんだよ。