「……おい。」 「何よ?」 「莉茉を勝手に連れ出すんじゃねぇぞ。」 「……。」 明後日の方向を見つめるお袋。 …やっぱり。 「連れ出す気でいたんだな。」 小さく溜め息を吐き出した俺は、少しだけ身体を強張らせた莉茉を強く引き寄せる。 そんなお袋に親父はただ苦笑いを浮かべていた。