寵愛の姫 Ⅰ【完】




「うん?」


「知り合いなの?」


「…誰とだ?」


「…………あの人。」



ちらりと私が視線で示せば、一瞬だけそちらを見た暁が首を横に振る。



「知らねぇ。」


「そうなの?」


「あぁ。」



暁は煙草を取り出す。



「なんだか、暁の事を知ってるみたいだったんだよね…。」



間違いだったのかと、私は首を捻る。



「………まぁ、あっちは俺の事は知ってるだろうな。」



暁が口から紫煙を吐き出した。