『おはよう、虹心』


明君が、両手の人差し指を曲げる手話で挨拶をしてくれる。

この前、教えてくれた手話だ。

なんだか、可愛くて和んでしまう。


『おはよう、明君』


私も、教えてもらった手話で返す。
距離が近づいた気がして、
すごく、嬉しかった。



「にこっちすごいね〜!いつの間に覚えたの?」


「えへへ〜!いいでしょ〜」


希望に自慢するように手話を見せる。


「本当に虹心は勉強以外のことは覚えるの早いよな」


「勉強以外はってなによ!」


瞬に頬を膨らまして抗議する。

皆がクスクスと笑った。

私の扱いは相変わらずだけれど、
やっぱり、最高の友達だ。


「よーし、にこっちも戻ってきたことだし、この調子で中間テストも頑張ろうね!」


希望の言葉に、場が静まる。


中間……テスト……。


「ぁぁぁぁぁあああ"!?」


私の叫び声が、
廊下に響いた。