君に声届くまで。



『小さい頃は、何も思っていなかった。

施設の職員さんは学校行事に欠かさず来てくれたし、5人も兄弟みたいな存在がいて、楽しかったから。


でも、だんだんと周りの子に

「親がいないなんて可哀想」

そう言われることが出来てきて、
すごく、嫌な思いもした。
同情だってされたし、すごく傷ついた。


だから、高校生になって施設の事を隠し始めた。
もちろん、希望にも、明君にも。

本当は、分かってたのに。
希望も明君も、施設の事をそんな風に言ったりしないって、分かってたのに。

でも、言えなかった。


本当にごめん。
嘘をついて、ごめん。
信じてなくて、ごめん。

希望はまだ、
まだ、私と………
友達でいてくれる?』



黙って聞いていたあたしは、

にこっちの問いかけに、

ただ、一言、こう言った。



「こちらこそ、よろしく。にこっち!」


────── ねぇ、

にこっちは、
憶えているかな?

あたしと、
にこっちの出会い。