「もしもし…にこっち…?」


『希望…?虹心だよ』


電話の奥から、懐かしい声が聞こえる。

たった4日聞いていないだけなのに、
こんな気持ちになるなんて…。


「にこっち、体調は大丈夫?この前は、突然押しかけてごめんね」


あたしは一息でそう言うと、
にこっちの返答を待った。


『うん、体調は大丈夫。私も、ごめんね』


体調は大丈夫。
その言葉を聞いて、1つ安心する。


『あのね、希望。私、赤ちゃんの頃からあの施設で育ってきたんだ』


にこっちが、自分の心の傷を話そうとしてくれている。

あたしは、相槌を打ちながら、静かににこっちの話に聞き入った。