スマホが鳴ったのは、
丁度カップにコーヒーを注ぎ終えた時だった。


画面を見て、目を見開く。


『芹沢虹心』
の表示。


「にこっち……」


にこっちは、ここ最近ずっと学校を休んでいる。


理由はもちろん、あたしと芹沢君がにこっちの家に行ったことだろう。


にこっちが、家庭環境を周りに隠していることには薄々気づいていた。

だからといって、別にそんなことはどうでも良かった。
あたしとにこっちが仲良くすることに、
家庭環境なんて関係ないから。


だけど、にこっちにとっては大きいことで、あたしがにこっちを傷つけてしまったことは確かだった。

謝りたい。
もう一度、4人で沢山話したい。


あたしはおぼつかない手で、
スマホの通話ボタンを押した。