その時、部屋の扉がノックされた。
「虹心、いい?」
瞬の声が聞こえる。
私は、ベッドから立ち上がって扉を開けた。
そこには、暖かそうなパーカーを着込んだ瞬がいた。
「あの……ちょっと、いい?」
話の内容の検討はついていた。
私は浅く頷くと、瞬を部屋へ通した。
「気持ちの整理はついた?」
瞬が優しい顔で私を見下ろしてくる。
その視線に耐えられなくて、
私は俯いた。
何も言わない私の頭に、瞬の大きな手が置かれる。
「大丈夫だよ。お前が思ってるほど、アイツらは簡単にお前を1人にしたりしないから」
ポンポン、と優しく撫でてくれる手。
小さい頃から、瞬はいつもそうだった。
私が1人悩んでいると、
いつだって助けてくれた。
大丈夫、大丈夫。
そう優しく撫でてくれる手に、
私はいつも助けられていた。
目から、自然と雫がこぼれ落ちて、床を濡らした。
「一緒に、謝ろう。アイツらなら許してくれる。また、みんなで仲良くできるよ」
みんなで、仲良く……。
更に涙が溢れてきた。
また、みんなで楽しく学校に通いたい。
ちゃんと、謝れば許してくれるだろうか?
私の心も晴れるだろうか?
「大丈夫、大丈夫」
子供のように泣きじゃくる私を、
瞬は優しく包み込んでくれた。
胸に顔をうずめて、
声を上げて泣いた。
涙が瞬のパーカーを濡らしていく。
不安が、どこかに飛んでいくようだった。
「2人とも、待ってたよ。お前が学校に来てくれるの」
トン、トンと背中をさすってくれる。
私達は、私の涙が収まるまで、しばらくそうしていた。


