君に声届くまで。



「こ……にこ……虹心!!」


「うわぁ!!」


瞬の大きい声に、私は飛び上がる。
見上げると、瞬が玄関の扉を開けた隙間から、私を見下げていた。


考えに没頭しすぎて、
全然、瞬の気配に気づかなかった…。
時間も、どのくらい経ったのか検討がつかない。


「あの……みんなは…?」


私は、靴を脱ぎながら瞬に尋ねた。


「もう、帰ったよ」


瞬の言葉に、私は安堵の息を吐く。
けれど、そんなのその場しのぎでしかない…。
明日は、どうなる?


「今日は俺が上手く言っといたけど…ちゃんと、お前の口から伝えた方がいいんじゃねぇの?」


私の口から。
そんなの…分かってるよ…。

だけど、怖い。

嘘をついてごめんって謝ればいいの?

許してくれないかもしれない。
私と、一緒に居たくないと言われるかもしれない。

私は、希望を、明君を、
裏切ってしまったのだから。


「瞬、ありがとう。でも、今は1人で考えさせて」


私はそのまま踵を返すと、部屋へ向かって急いだ。