「にっ、虹心が熱!?」


昨日の雨が上がり、
すっかり明るく日が差し込むようになった食卓に、
瞬の声が響いた。


「えへへ…昨日寒かったからかな〜」


私は、熱さまシートを貼ったおでこを撫でる。
冷たいはずのシートを通して、
ほんのり暖かい熱が伝わる。


「ほんと、虹心が風邪ひくなんて珍しいわよね〜。雪でも降るんじゃないかしら?」


綾子さんがテレビの天気予報を見ながら呟く。


「やだなぁ〜。私だって風邪くらいひきますよ〜だ」


私は綾子さんお手製のお粥を頬張る。
風邪でも食欲だけはあるんだよね〜。


学校でみんなに会えないのは残念だけど、今日で中間テスト2週間前。

みんなに移すわけにはいかないから、
今日はしょうがなくお留守番だ。


「だから瞬、先生とみんなによろしくね」


私の言葉に、瞬は、ん〜と気の抜けた返事で答えると、
そのままリビングを出て行った。