君に声届くまで。



明君は、無言でスッと手を伸ばして傘を持ってくれる。

一瞬、私と明君の手が触れ合う。

私はびっくりして傘から手を離した。


「あっ…ありがと」


お礼を言うと、明君はエクボをつくってコクコクと頷いた。


初めてだ、
男の人と傘に一緒に入るのは。

初めてだ、
こんなに不思議な気持ちになるのは。


私は雨音に耳を傾けながら、
明君を上目遣いに見上げた。


少し眠そうに垂らした目と長いまつ毛。
本当、綺麗な顔してるよなぁ……。

瞬のかっこよさとは違って、
もっと、繊細な感じで…。


そんなことを考えて、明君をボーッと眺めていると、
明君が首を傾げながら私を見下ろした。