君に声届くまで。



「あれっ……雨だ……」


空を見上げると、
分厚い雲からポツポツと雫が垂れてきている。


『明君、傘持ってる?』


空を見上げていた明君が、
手元に視線を戻した。


『ごめん、忘れた』


『じゃあ、私小さい傘なら持ってるから一緒に入ろう?』


私は明君に水色の折りたたみ傘を見せる。
折りたたみ傘は、瞬に言われて学校に行く時は毎日持ち歩くようにしていた。


『えっ?いいよ、悪い。走ればすぐ着くから』


私は歩きだそうとする明君の手を握って引っ張った。


『一緒に帰ろうよ!帰りたい』


その文字を見た明君の動作が、ピタリと止まった。
驚いたようにじっと画面を見た後、
私の方をチラリと見た。

私は明君に笑顔で頷くと、
返事を聞く前に傘を開いて、
背伸びをして明君と傘に入る。


『ありがと』


そんな明君の表情に、
私の体温が一気に上がる。
胸に変なモヤモヤが広がった。