画面に書かれていた文字を目で追う。
『ごめん。僕、耳が聞こえないんだ』
一瞬、冗談かと思った。
でも、
芹沢君の真っ直ぐに私を見つめる瞳が、
嘘をついているとは思えなかった。
私は、机にかかったスクバから、
スマホを取り出す。
なるべく急いで文字を打つと、
芹沢君に見せる。
『ごめんなさい、知らなくて…。
さっきは名札ありがとう!
名前、芹沢君っていうの?』
芹沢君は、私の打った文字を見ると、
直ぐに自分のスマホに文字を打ち始めた。
『大丈夫。うん、芹沢。芹沢明』
芹沢君の打った文字に、
首をひねる。
芹沢あかり…?
『あかり君?』
私のスマホ画面を見た芹沢君は、
ふっ、と吹き出した。


