「にこっち、瞬君走るみたいだよ」
ツンツンと肩を叩かれて、希望の視線の方へ目をやると、
そこにはスタート姿勢につく瞬の姿があった。
「今年はどの位伸びてるのかな〜」
うふふ、とニヤニヤと笑う希望。
そういえば、毎年毎年、
2人はクラスが違う時から足の速さで競い合ってたっけ。
いつもいがみ合ってるのに、
なんだかんだ仲がいいんだよなぁ…。
間もなく、ピストルの音とともに、瞬を含んだ3人の男子が一斉にスタートした。
「うわっ…速っ…」
20m地点で一気にトップに出ると、
そのまま息をする間もなくゴールをした。
「安西、12秒31。樫村、14秒74。上野、14秒89」
12秒!!?
私は口を開いたまま、ただ瞬を見つめていた。
どんな身体の作りになってるの!?
私と同じもの食べて育ってきたはずなのに…。
瞬は私たちの視線に気づいたのか、
こちらに向かって手を振ってきた。
私と希望も振り返す。
「やっぱり勝てないか〜」
悔しそうに笑う希望は、
どこか楽しそうだった。


