君に声届くまで。



「なぁ…虹心…好きなヤツとかいないの?」


なんとなく、を装って聞いてみる。

ずっと気になっていたけれど、
なかなか聞く機会もなかった。


「えっ?好きな人?う〜ん…いないかな〜」


その答えに、どこかホッとする自分と、
意識されていないことに落ち込む自分がいた。


…なら、自分にもチャンスが…?
そうは思うけれど、

頭に、明の存在がちらつく。

そういや、
最近、虹心がやたらと明と仲が良い。

女子と仲が良いのは嬉しいけれど、
虹心が男と仲良くしているのを見ると、
やっぱり、辛い。


虹心は、鈍感で天然なところがあるから、余計に心配で。


そんなこと言うなら、
告白しろって思われるかもしれないけど、虹心を前にすると心拍数が上がってしまって…

また、今日もダメだった。


その繰り返し。



「瞬は?彼女とか、いないの?すっごくモテるでしょ?」


虹心がニコニコしながら、
聞いてきた。


こいつ、
誰のせいで俺が彼女作らないかも知らないで……。


「いねーよ。ってか、俺の話はいいから、早く関数終わらせろ」


俺は、
ついつい虹心への思いが零れてしまう事が怖くて、
話を逸らした。


虹心は、
これまた笑顔で、
はーい!と答えると俺の隣に大人しく戻る。