君に声届くまで。



「それで、x2乗に3を代入して、3×3で9。y=5×9……って、おい、虹心、聞いてんのか?」


話は進んで、ついに二次関数(中学)。
虹心は口をパクッと開けたままボーッと教科書を眺めていた。



「虹心?」



「えっ?あっ、ごめん!難しいなぁって思って……」



「まぁ、関数でつまずく中学生は多いからな」



しまった。
虹心を中学生だと思って話を進めてしまった。

でも、こいつ、本当にどうするんだろうか。

今の成績じゃ、大学はおろか卒業だって難しいんじゃ……。


「あ〜なんか疲れちゃったー!ちょっと休憩!」



そう言って、
虹心は俺のベッドにダイブする。



「だぁ!てめ…!!」



止めようとするけれど、
まぁいいか、と思い直して椅子に座り直した。


こいつ、なんと言うか、ほんとに疎い。


「気づけよ…流石に…」


勝手に人のベッドでくつろいでいる虹心の背中を眺めながら、
ぼそりと呟く。


虹心が恋愛に疎いのは、
小さい頃からだった。

小学生の頃は、
クラスの男子から逆バレンタインを貰っても、相手の気持ちに気づく素振りもなく、
『チョコレート貰った!なんでだろー?』って感じだったし。


中学の頃も、
男子に告られても、
『私も好きだよ!友達だもん!』って感じで……。

危なっかしいというか、
放って置いたら変な男に持ってかれそうで…心配なんだ…。