君に声届くまで。



窓際の後ろ。

なかなかいい席だ。


希望の方を向くと、
希望の隣には瞬が座っていた。



「あれぇ?一人席じゃないんだぁ〜。意外〜」



希望が瞬をイジルように声を上げる。



「るっせ。黙ってろ」



この光景も、日常だった。

なぜだか、この二人は初対面から、
反りが合わないのか口喧嘩ばっかり。


でも、見てる方は面白いんだけどね。



ふと、隣の席に座る人に視線を向けると、
そこにはなんと、さっきの芹沢君がいた。


うそ!?


一人でキョドっていると、
変な動きに気づいたのか、
芹沢君が私の方を向いた。



「あっ、えっと…さっきはありがと」



芹沢君は、無反応だった。
表情ひとつ変えずに、
じっと私を見ている。



「あの…えっと…」



じわりと涙が滲む。
無視されてる…!?



思ったとおり、
芹沢君はポケットからスマホを取り出して、トントンと文字を打ち始めてしまった。



完全に相手にされてない…。



うぅ…
と視線を下げようとした時、


芹沢君がスマホの画面を私に見せてきた。