君に声届くまで。



「ただいまー!!」


「ただいま」


俺たちが施設についたのは、8時過ぎだった。


「あら、お帰り〜、ずいぶん遅いわね」


玄関で綾子さんが迎えてくれる。


「えへへ、いろいろあって。ご飯ある?」


虹心が話を逸らすように、綾子さんに別の話を振った。

こいつ、あんな場所に男と2人っきりなんて、本当に反省してんのかよ…。


「あるわよ〜。そうだ、瞬、いつも悪いんだけど、了が降りてこないのよ。呼んできてくれる?」


綾子さんが2階を見上げながらそう言った。


「あぁ。いいっすよ」


俺は玄関にスクバを置くと、階段を登った。

了は中学3年生の男で、いろいろ問題有りな施設生だった。
そうなったのは、アイツが悪いわけではない。

そう、アイツが悪いわけじゃないんだ……。


了の部屋の前まで来ると、
一呼吸置いてドアをノックする。


「了、開けるぞ」


そう声をかけて、ドアノブを思い切り引くが、ガチャっと音がして開かない。

アイツ…鍵かけやがって…。


「おい、了!鍵かけんなっつってんだろ〜。飯だぞ」



ドアノブをしつこく上下させると、
カチッと小さな音がして鍵が解かれた。