君に声届くまで。



『そうか。っていうか、お前虹心と仲いいのなw』



俺が、どこか伺うように冗談めかして言うと、明は一瞬目を見開いた。



『友達って言うらしい。まだちょっと分からないけど』



友達が分からないねぇ…。

こいつって、やっぱりどこか変わってるんだよな。



『そうか…。あのさ、1年の時の、体育祭のこと…ほんと』


「お待たせ〜」


そこまで打ったところで、
突然背後から虹心の声が聞こえて、

あまりにもびっくりしすぎて、
俺は文の打ち途中で間違えて送信ボタンを押してしまった。

ほんと、で区切られたおかしな文。



「なんでそんなにびっくりしてるの?」



虹心が必死に可愛い身長を伸ばして、
俺をのぞき込んでくる。



「いや、なんでも。帰ろうぜ、もう遅いし」



スマホを持つ手と反対の手で、
虹心の小さな頭にポンと手を乗せる。


ふぁっ、と虹心から上がる声に、
ふふっ、と笑うと、
思い出して明に続きを伝える。



『ごめん、なんでもない。確か、家同じほうだったよな。帰ろうか』



明は、LINEを見ると、
ただ一言、



『うん』



と返した。


そんな文字を見て、
俺は、正直、


───── このままでいい。


そう思った。


俺は、明と友達なんかじゃない。

これ以上、明に踏み込まない。

1年前のことを謝ったりもしない。



俺は、このままでいいんだ。

周りのヤツらと一緒で…
それで、いいんだ。