君に声届くまで。



私は、
2週間で習得した早打ちを実践する。

人間、スマホは使えば使うほど、
早打ちができるようになるらしい。



『じゃあ私、先生が来るまで待ってるから、先帰ってて?』



明君は、
しばらくスマホの画面に視線を落としたままだった。


長めの艶っぽい前髪が、
明君の表情を隠している。



『僕も、一緒に待ってる』




明君から返って来た返事は、
思いも寄らないものだった。



えっ?一緒に先生を待ってくれるってことだよね…?




『そんな!悪いよ!先生帰ってくるかもよく分かんないし…』




『暇だからいいよ。大丈夫』




その言葉に、明君を見上げると、
また可愛いえくぼを作って笑っていた。


ほんとに、
明君は眩しい。

私には、目が眩んでしまうほどに。


私は、ありがとう、と答えると、
明君と残りの図書室掃除を進めた。