君に声届くまで。




「瞬ー、大丈夫!明君が見つけてくれた」



私は本棚の向こうに声をあげる。

瞬から、一瞬間が空いて抜けた声が返ってきた。



「そっか。よかった」



そのまま本の隙間から覗いていた影が、スッと引いていった。


あれ…?
瞬の事怒らせちゃった…?



「終わったなら戻ろうぜ」



瞬がみんなに呼びかける。



「そうだねー。疲れたぁ」



希望の声も聞こえる。



「あれ?お前の体力底なしだと思ってたわ」



「ほんと、あんた殴るよ」



2人の足音と声が、
図書室から遠ざかっていく。


私は少し後ろに立つ明君に振り向いた。


帰ろうか


と口ぱくする。


けれど、明君は首をかしげるだけだった。
ちょっと早かったかな?


私は、明君の左手を掴む。


そして、手のひらに、


『帰ろうか?』


と文字を書いた。


すると、明君も、
私の手のひらを自分の指でするりと撫でていく。



『そうだね』



私たちは、
顔をあげてふふふっと笑った。


LINEもいいけれど、
こうやってコミュニケーションをとるほうが楽しい。


最近は、
みんなが携帯、スマホ。

だから、手のひらで気持ちを伝えるのって、なんだかとても新鮮に感じた。