「あっ、明君っ!テストだよ!?知ってた!?」
聞いていなかったのは、きっと私だけじゃない。
そう思って明君の腕を掴みブンブン振るけど、
明君はなぜ私がこんなに焦っているのか知る予知もなく、
頭にはてなマークを浮かべている。
あっ…そうだよね…。
私は、ハッとすると、
ブレザーのポケットからメモ帳を取り出した。
いつもは筆箱に入れているけれど、
今日から明君とたくさん喋る(?)べく、
ブレザーのポケットに入れてきたのだ。
私はスマホをそんなに使うほうじゃなくて打つのも遅いし、
やっぱり筆談の方が気持ちも伝わりやすいと思う。
いちいち見せ合うというのが少し大変だけど…。
『今日テストなんだって!知ってた?』
私が明君に紙を見せると、
明君はコクコクと頷いた。
な、ナンダッテ……。
私は涙目で希望を見た。
希望は呆れた顔で、自分でまとめたであろうノートを私に見せてくれる。
「後5分あるし、教えてあげる」
薄く微笑する明君を一瞥すると、
私は大人しく席についた。
負けたら図書室掃除1ヶ月……。
絶対に、負けるわけにはいかない……
けど………。